Google Maps Platform の代替案

概要

6月11日に Google Maps API の料金の変更に伴い、代替サービスとして利用できるウェブページに埋め込み型の地図サービスを、個人使用・法人使用・無料・有料 問わずいくつか紹介します。
弊社の始めたサービスについても紹介しています。

背景

2018年6月11日より、Google Maps API が料金体系を一新して Google Maps Platform に生まれ変わります。今まで複雑だった料金の計算方法がシンプルになる一方で、無料利用枠が大幅に削減となりました。

(マップの表示だけを利用した場合)
今まで 1日 25,000回 表示可能だったのが、1ヶ月 28,500 回 (1日約919回) となりました。

また、同表示回数内に収まっている場合でも、APIキーの登録及びクレジットカードの登録が必須になりました。
(2016年6月以前のAPIキー未取得でも表示されていたサイトは、正しく表示されなくなる模様です)

弊社では KsGMap もリリースしており、Google Maps API 自体は好きだったのですが、残念ながら、今後は使えないという声も多く聞こえましたので、本ページにて代替となる、ウェブページ埋め込み型の地図サービスを紹介します。

注意

公正な内容に努めていますが、弊社は地図サービス一覧の最後の「OpenStreetMap プリレンダリング」サービスをを行っている為、記事内にバイアスが掛かっている場合がありますので、その点考慮の上ご覧ください。

本ページでは表示回数の単位に「回」を使っていますが、サービスによって呼称と定義が異なります。

今回の件は影響力が大きいので、地図サービス界隈で様々な急激な変化があるかもしれません。2018年5月中頃の情報を用いていますが、必ずご自身で確認して下さい。
特に、料金は制限や利用方法によって同じサービスでも複数の料金体系がありますので、注意して下さい。

内容について正確性を保証しません。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いません。

地図サービス一覧

※名称の下は対象と使用料金を記してあります。

世界

(参考)Google Maps Platform  (旧: Google Maps API)

個人/法人
一定量無料/有料 (従量制)

一応、別のサービスとの比較のために紹介しておきますが、Google が提供している言わずと知れた最も有名なウェブサービスでしょう。少々の JavaScript の知識があれば、誰でもウェブサイトに地図を埋め込むことができます。
地図を表示させるだけではなく、ジオコーディング (住所検索)、経路検索 などのGISサービスが充実しているのも特徴です。
制約はあるものの自由度が高く、高度な地図サービスをユーザーに提供することができます。
日本国内ではゼンリンの地図がベースとなっています。

Google Maps Platform - Embed (埋め込み)  (旧: Google Maps Embed API )

個人/法人
無料

Google が提供している地図サービスの一種で、APIキーが必要なもの (Google Maps Platformの一部) と不要なもの (Googleマップ上から生成するもの) の2種類があるので注意して下さい。どちらも現在のところは無料です。
iframe を用いることで、Google Maps Platform よりさらに手軽にウェブページやブログなどに埋め込むことができます。
但し、マーカー (ピン) が1本しか立てられなかったり、デザインの変更もほとんどできないなどの大きな制約があります。
Google Maps Platform と同様に日本国内ではゼンリンの地図がベースとなっています。

Google Maps API の代替として考えている場合、緯度経度の座標を使うものやジオコーディング(住所検索)、経路検索を含めるタイプはAPIキーが必要です。マップを開いて共有の埋め込みから生成するタイプは不要です。

Bing Maps API

個人/法人
一定量無料/有料 (従量制)

Google Maps API と同様に Microsoft が世界規模で展開している地図サービスですが、無料表示枠が年間125,000回、1日換算の場合342回と Google Maps Platform を下回るため、代替として利用するのには向いていないかと思われます (但し、現在のところクレジットカードの登録は不要)。
Google Maps Platform 同様に JavaScript で高度な地図サービスをユーザーに提供することができますが、ドキュメント類が日本語化がされていないので、英語が読めない場合は難しい面があります。
日本国内ではゼンリンの地図がベースとなっています。

Yahoo! JavaScriptマップAPI

個人
一定量無料/有料 (従量制)

Yahoo! JAPAN (Yahoo.com ではない) が提供している世界規模の地図サービスです。
Google Maps Platform 同様に JavaScript で高度な地図サービスをユーザーに提供することができる上に、無料表示枠が 1日50,000回と飛びぬけて多く、ドキュメントも日本語なので比較的設置が容易です。
但し、原則として個人を対象としており、法人は要相談となっています。
日本国内はゼンリンの地図がベース、海外は OpenStreetMap の地図がベースとなっています。

OpenStreetMap

個人/法人
無料

有志のボランティアや地方自治体などの情報などを組み合わせて出来ている地図サービスです。地図版ウィキペディアとも言われています。
商用利用、印刷利用を含め、非常に緩いライセンスで利用することができます。
オープンソースの Leaflet などを用いることで少々の JavaScript の知識があれば比較的簡単に導入することができます。
但し、提供されるのは地図 (データ) のみで、衛星写真、ジオコーディング(住所検索)、経路検索 などのGISサービスは含まれません。
また、アクセス数が多い場合はアクセス制限がかけられるとサーバーが重い場合がある為、商用利用する場合は、後述の「Mapbox」か「OpenStreetMapサーバー設置」、「OpenStreetMapプリレンダリング」を用いるのも一つの手です。

MapBox

調査中

日本国内

いつもNAVI API / SDK

法人
有料 (初期費用/月額制)

日本国内の住宅地図で最も有名なゼンリンが提供している地図サービスです。前述の世界規模のサービスでも同社の地図がベースとして利用されていることが多いですが、ゼンリン自身も独自に法人向けの地図サービスを提供しています。
独自の JavaScript を用いてウェブサイトに地図を埋め込むことができます。日本独自のGISサービスなども多く提供しています。

MappleAPI

法人
有料 (初期費用/従量制)

旅行地図などで有名な昭文社が提供している地図サービスです。
独自の JavaScript を用いてウェブサイトに地図を埋め込むことができます。

MapFun API

法人
一定量無料/有料 (従量制)

インクリメント・ピー社が提供している地図サービスです。一応無料提供枠がありますが、1ヶ月5,000回 (1日161回) なので、事実上、無料での利用は諦めた方がいいでしょう。
独自の JavaScript と Leaflet などのオープンソースのどちらでも埋め込むことができるのが特徴的です。

地理院タイル

個人/法人
無料

日本の国土交通省の国土地理院が提供している地図サービスです。
地図の画像のみしか提供していませんが、事実上地図サービスの標準となっているタイル形式に準拠している為、オープンソースの Leaflet で比較的簡単に導入可能です。
(これからどうなるかわかりませんが)現在のところサーバーも快適に動作しています。
GISサービスはほとんどありませんが、通常の地図以外にも航空写真地図 (衛星写真地図) なども提供しています。しかしながら、肝心の普通の地図のデザインが若干固すぎるという難もあります。

日本国内

○自身でOpenStreetMapサーバー設置

個人/法人
無料

地図サービスではありませんが、OpenStreetMap からデータだけを取得し、自身のサーバーに設置して表示させることもできます。
但し、全世界を対象とするとデータ量だけで半端なく多いので、現実的には特定の地域内での提供になると思います。
自身で見た目も含めてどのようにでも地図を提供することができるので、自由度は最も高いですが、サーバーを立てる為、多くの専門知識が多く必要とされます。また、地図自体は無料ではあるもののある程度のスペックのサーバー、定期メンテナンスなどのコストが必要になってきます。
また、地図の更新は自身で行わなくてはなりません

OpenStreetMapプリレンダリング

個人/法人
有料 (初回生成時のみ)

このたび弊社にて「OpenStreetMap スポット領域タイル プレレンダリング」というサービスを始めました。
「OpenStreetMapサーバー設置」の代わりに予め決められた範囲の画像タイルを作成しておき普通のウェブサーバーと同じ場所に設置することで、地図サーバーの代替とすることができます。
但し、容量の関係でカバーできる範囲は広くないため、店舗地図や会社案内などの用途に限られます。
表示自体はオープンソースの Leaflet を用いることで、簡単に埋め込むことができます。
生成時にスポット毎に費用が発生しますが、月額料金等は掛かりません。但し、一度生成すると自動で更新されないので、周辺が大きく変わり地図を更新させる場合にその都度費用が掛かります。